請求書の基本

請求書の書き方|9ステップで分かる作成方法と記載例

請求書の書き方を9ステップで解説。必須の記載項目、消費税と合計金額の計算方法、そのまま真似できる記載例を紹介します。無料の請求書作成ツールでPDFも作成できます。

読了目安:8分

請求書とは、取引先に代金の支払いを正式に求める書類です。何を購入したのか、いくら支払う必要があるのか、いつまでに、どうやって支払うのかを伝えます。分かりやすい請求書は入金が早くなり、経理担当者や税理士の確認も通りやすく、万一のトラブルの際にもご自身を守ってくれます。

このガイドでは、白紙の状態から請求書を作成する手順を順を追って説明し、最後に記載例を紹介します。フォームに入力するだけで済ませたい場合は、無料の請求書作成ツールが同じ構成になっており、入力が終わればPDFをダウンロードできます。

請求書の役割

項目やレイアウトの話に入る前に、よい請求書とは何を実現するものかを確認しておきましょう。取引先、先方の経理部門、税理士、税務調査官など、誰が見ても、あなたに問い合わせることなく次の5つの疑問に答えられる状態が理想です。

  1. 誰が誰に請求しているのか(売り手と買い手、法的な情報)
  2. 何を提供したのか(商品またはサービス、数量、価格)
  3. いつ提供し、いつ請求したのか
  4. 税金を含めていくら支払う必要があるのか
  5. いつまでに、どうやって支払うのか

以下の各ステップは、このいずれかの疑問に対応しています。

ステップ1:自社の情報を上部に記載する

まず、自分自身の情報を記載します。通常は左上または右上に配置します。

  • 事業者名(屋号または会社名)。屋号と本名が異なる個人事業主の場合は、本名も併記するのが一般的です
  • 住所
  • メールアドレスと電話番号
  • 税務上の登録番号がある場合はその番号(日本では、適格請求書発行事業者の登録番号「T」+13桁の数字が代表的です)
  • 法人の場合、現地の規則で必要であれば法人番号などの登録情報
  • ロゴ(任意ですが、あると一目でどの会社の書類か分かります)

ステップ2:取引先の情報を追加する

自社情報の下または向かい側に、宛先を記載します。

  • 取引先の正式な事業者名(担当者名だけでなく、会社名)。会社宛ての場合は「御中」、個人宛ての場合は「様」を付けるのが日本の商習慣です
  • 請求先の住所
  • 取引先から指定があれば、担当者名や部署名(例:「経理部」)
  • 事業者間の取引で必要な場合は、取引先の税務上の番号。たとえば、EU域内のリバースチャージの請求書には、買い手のVAT番号の記載が必要です

**ヒント:**新規の取引先には、最初の請求書を送る前に、正確な請求先情報を確認しておきましょう。大企業では、宛先の法人名が違っていたり、発注番号(PO番号)が抜けていたりするだけで、請求書が差し戻されることがあります。

ステップ3:表題を明記し、重複しない番号を付ける

上部に**「請求書」**と大きく明記します。その国で「適格請求書」や「Tax Invoice」といった呼称が使われる場合(日本、オーストラリア、ニュージーランド、インドなど)は、それに合わせた表記にします。

次に、請求書番号を付けます。請求書番号は重複しないことが必須で、連番にするのが望ましいとされています。多くの税務当局は、途切れのない連番を想定しています。INV-2026-0001、INV-2026-0002 のような形式が、シンプルで運用しやすい例です。形式、複数の番号体系、欠番や取消しの扱いについては、請求書番号のガイドで解説しています。

ステップ4:日付を記載する

ほとんどの請求書には、少なくとも次の2つの日付が必要です。

日付 意味
請求日(発行日) 請求書を発行した日。支払条件は通常、この日から数えます。
支払期日 入金が必要な期限。「30日以内」「月末払い」などの表記だけでなく、「2026年11月30日」のように具体的な日付で書くほうが明確です。
取引日(納品日・役務提供日)(異なる場合) 商品を納品した日、またはサービスを提供した日。多くの国では、請求日と異なる場合にVAT請求書への記載が必要です。日本の適格請求書でも「取引年月日」が必要です。

どの支払条件にすべきか迷う場合は、支払条件の解説をご覧ください。

ステップ5:商品・サービスを明細として記載する

ここが請求書の中心です。各行には次の項目を入れます。

  • 品名・内容:その場にいなかった人にも伝わる具体性が必要です。「ウェブ制作」では弱く、「トップページのリデザイン:レイアウト案3点+修正2回」なら十分です
  • 数量:時間、日数、個数、文字数など。固定金額の項目は1とします
  • 単価:1単位あたりの価格(税抜)
  • 金額:数量 × 単価

関連する作業はまとめてもかまいませんが、すべてを1行にまとめてしまうのは避けましょう。明細が詳しければ、質問される前に疑問を解消でき、質問こそが請求書が未払いのまま止まる最大の原因です。

ステップ6:小計、値引き、税額、合計を計算する

明細から順に計算します。

  1. 小計:すべての明細金額の合計
  2. 値引き:ある場合は、見えるように別の行(マイナス)で表示
  3. 税額:消費税(日本)、VAT、GST、売上税など。課税対象額に対して計算し、税率とともに表示(例:「消費税10%」)
  4. 送料その他の費用(該当する場合)
  5. ご請求金額:取引先が支払うべき金額。通貨を明記

VATやGSTの登録をしていない場合は、税金を請求してはいけません。多くの国では、登録していない小規模事業者に、税金を請求しない理由の説明(小規模事業者の免税に関する文言など)を求めています。詳しくは請求書でのVATの扱いと、米国の請求書における売上税をご覧ください。

日本では、消費税の課税事業者であっても、税率ごとに区分した合計額と消費税額を記載する必要があります(軽減税率8%の品目と標準税率10%の品目が混在する場合は特に注意が必要です)。個人に報酬を支払う法人の取引先が、デザイン料や原稿料などから所得税を源泉徴収する場合もあります。該当する場合は、源泉徴収税額を差し引いた支払額の表示について、取引先と事前に確認しておくと安心です。

ステップ7:支払方法を案内する

お支払いが簡単にできるようにしましょう。

  • 銀行振込の情報(金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義。海外送金の場合はIBAN/口座番号、BIC/SWIFT、ルーティング番号など)
  • 支払いリンクや、利用できるカード・PayPalなどの方法
  • 取引先が使う参照情報(通常は請求書番号)
  • 必要に応じて、国際送金の手数料をどちらが負担するか(日本では振込手数料を支払者負担とする旨を一言添えるのが一般的です)

ステップ8:支払条件と備考を追加する

フッターには、次のような内容を記載します。

  • 支払条件(例:「請求日から14日以内にお支払いください」)
  • 遅延損害金の条件(契約や現地の法律で認められている場合:利息または定額の手数料)
  • 法的に必要な記載事項(例:「リバースチャージ」の注記、免税に関する文言)
  • 短い感謝の言葉。費用はかからず、印象もよくなります

ステップ9:確認し、PDFで保存して送る

送る前に、次のチェックリストで確認しましょう。

  • 取引先の正式名称と住所が正しい
  • 請求書番号が重複しておらず、前回の番号に続いている
  • 日付が正しく、支払期日が具体的に書かれている
  • すべての行に数量・単価・金額があり、計算が合っている
  • 税率と税額が正しい(または税金がない理由が記載されている)
  • 通貨が明記されている
  • 支払情報が完全で正しい
  • 取引先から指定された発注番号や参照情報が入っている

請求書は、編集可能な文書ではなくPDFで送りましょう。見た目が整い、印刷しても崩れず、誤って書き換えられることもありません。ファイル名は INV-2026-0042_BlueFernDesign.pdf のように分かりやすくし、日常のやり取りの担当者だけでなく、支払いを担当する人や宛先にも送ります。

記載例

ここでは、適格請求書発行事業者に登録している日本のデザイナーが、日本の取引先に請求する請求書の例を示します。

項目 記載例
請求元 ブルーファン・デザイン株式会社、東京都渋谷区神南1-2-3 · 登録番号 T1234567890123
請求先 ノースウィンドコーヒー株式会社 御中、神奈川県横浜市中区海岸通4-5
請求書番号 INV-2026-0042
請求日 2026年10月28日
支払期日 2026年11月30日(月末払い)
発注番号 NW-PO-7781
品名・内容 数量 単価 金額
ブランドアイデンティティ制作:ロゴ案+修正2回 1 ¥120,000 ¥120,000
パッケージラベルデザイン(3品目) 3 ¥25,000 ¥75,000
印刷用データ作成(時間) 4 ¥6,000 ¥24,000
小計 ¥219,000
消費税10% ¥21,900
ご請求金額(JPY) ¥240,900

フッター:「下記口座へ、請求書番号 INV-2026-0042 を添えてお振込みください(振込手数料はお客様のご負担でお願いいたします)。このたびはご利用いただき、誠にありがとうございます。」

(上記の口座番号や登録番号は、あくまで例です。)

よくある間違い

  • **あいまいな品名。**質問を招き、入金が遅れます。
  • 支払期日がない。「受領後すぐに」という表記は、「いつでも」と解釈されがちです。日付を書きましょう。
  • **記録なしで番号を再利用・飛ばす。**監査の際に問題になります。
  • 登録していない税金を請求する、または請求すべき税金を忘れる。
  • **送付後に請求書を書き換える。**誤りがあった場合は、元の請求書をこっそり修正せず、クレジットノートと訂正後の請求書を発行しましょう。
  • **宛先を間違える。**取引先で請求書を処理する担当者を確認しましょう。

請求書、見積書、領収書の違い

請求書は、作業の後(または合意したマイルストーンごと)に、支払いを求めるために送ります。見積書は事前に価格を提案するもの、領収書は支払い後に、入金を受け取ったことを証明するものです。代わりにそれらが必要な場合は、見積書作成ツールや領収書作成ツールをご利用ください。違いについては、請求書と領収書の違いもご覧ください。

請求書の要件は、特にVAT/GST/消費税の登録事業者では、国によって異なります。このガイドは広く使われている望ましい実務を扱っており、法律・税務上の助言ではありません。現地のルールをご確認いただくか、税理士にご相談ください。国別の請求書テンプレートでは、各国で一般的な要件をまとめています。