請求書と領収書は、どちらも品目、価格、合計を記載するため見た目は似ていますが、役割は正反対です。請求書は支払いの請求、領収書は支払いが済んだことの証明です。両者を混同すると、取引先を混乱させ、経理上の問題を招きかねません。どちらが必要なのかを、はっきりさせておきましょう。
違いを一覧表で確認
| 請求書 | 領収書 | |
|---|---|---|
| 目的 | 支払いを求める | 入金を受け取ったことを確認する |
| 発行のタイミング | 支払いの前(作業の後または作業中) | 支払いの後 |
| 伝える内容 | 「この金額を、この日までにお支払いください」 | 「この金額を、この日にお支払いいただきました」 |
| 主な記載事項 | 支払期日、支払条件、振込先 | 支払日、支払方法、受領金額 |
| 表示する残高 | 未払い金額 | ゼロ(一部入金の場合は残高) |
| 買い手の用途 | 支払いの承認と手配、税額の控除 | 経費の証明、払い戻しや精算の請求 |
| 売り手の用途 | 未収の収入の記録(売掛金) | 受け取った現金の記録 |
請求書を送る場面
お客様の支払いが後になる場合は、いつでも請求書を送ります。納品後、マイルストーンごと、あるいは定期的なスケジュールに沿った請求がこれにあたります。通常、次のような場面です。
- プロジェクトや時間に対して請求するフリーランスや代理店
- 掛け取引の条件(例:月末締め翌月末払いや Net 30)でのB2B販売
- サブスクリプションと月額契約(リテイナー)
- 作業開始前に請求する前払い金
請求書には、支払期日と明確な支払い方法の案内を記載します。詳しくは請求書の書き方をご覧ください。
領収書を送る場面
入金を受け取ったときに領収書を送ります。たとえば次のような場面です。
- 取引先が請求書を支払い、確認を求めてきたとき
- 店舗、市場の露店、修理の訪問後などに、お客様がその場で支払うとき
- 前受金を受け取り、受領を確認したいとき
- 取引先が、精算、経費申請、自社の税務のために支払いの証明を必要とするとき
店舗やPOSシステムは領収書を自動で発行します。一方、フリーランスやサービス業では発行しないことが多く、後から取引先に求められます。そうしたときに、領収書作成ツールが役立ちます。
領収書に記載する項目
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 「領収書」の表記と番号 | 領収書 RCT-2026-0105 |
| 支払日 | 2026年10月28日 |
| 売り手の名称と連絡先 | マーティン修理店、東京都世田谷区○○1-2-3 |
| 買い手の名称(小売では任意) | 田中 花子 様 |
| 支払いの内容(但し書き) | ボイラー点検および部品交換代として |
| 支払金額と通貨 | ¥28,000 |
| 支払方法 | カード(下4桁4412)/銀行振込/現金 |
| 関連する請求書番号 | 請求書 INV-2026-0311 分 |
| 含まれる税額 | 消費税 ¥2,545(該当する場合) |
| 残高 | ¥0 |
日本の領収書では、「但し書き」(何に対する支払いか)を記載するのが一般的です。なお、現金などで5万円以上の領収書には収入印紙が必要になる場合があります(金額の基準などは変わることがあるため、国税庁の案内でご確認ください)。電子的に交付する領収書には、印紙は不要とされています。
請求書と領収書の両方が必要になることはある?
はい、よくあります。典型的なB2Bプロジェクトの流れは次のとおりです。
- 価格を合意するために見積書を送る(見積書・概算見積・請求書の違いをご覧ください)。
- 作業が完了したら請求書を送る。
- 取引先が支払う。
- 取引先が確認を必要とする場合は、領収書を送る(または請求書を「支払済み」にする)。
銀行の取引明細と支払済みの請求書で十分な証拠になるため、4番目を省略する企業も多くあります。ただし、個人のお客様、雇用主に経費を請求する人、国によっては取引先が、特に領収書を求めることがあります。
支払済みの請求書を領収書の代わりにできる?
実務上は、多くの場合できます。支払日と支払方法を記載して「支払済み」と表示した請求書は、多くの場面で支払いの証明として受け入れられます。ただし、完全に同じ扱いとは限りません。雇用主の経費精算の規定、助成金プログラム、官公庁などが、「領収書」と表記された書類を求める場合があります。領収書を求められたら、発行しましょう。1分で作成できます。
その場で支払われる取引は?
販売と同時に支払いが行われる場合(たとえば代金引換でお客様が現金で支払うとき)は、1枚の書類で済ませることもあります。多くのVAT制度では、買い手がVATの控除を希望する事業者である場合、その書類は請求書の要件を満たす必要があります。一般的な方法は、「[日付]に[方法]で全額お支払い済み」と記載した請求書にすることです。消費者向けの販売では、通常は領収書で足りますが、登録済みのレジから発行する財政レシートなど、特定の書類を求める国もあります。
一部入金と前受金
取引先が請求書の一部を支払った場合は、次のように対応します。
- 受け取った金額について領収書を発行し、請求書番号を記載する
- 残高を表示する
- 元の請求書は変更しない。未払い額は、その請求書に対して引き続き管理される
例:INV-0042の請求書が¥300,000。取引先が¥100,000の前受金を支払った。領収書:「2026年10月28日、INV-0042の内金として¥100,000を銀行振込で受領しました。残高:¥200,000。」
返金
返金する場合は、新しい請求書も、マイナスの領収書も適切ではありません。標準的な書類は、請求書を減額または取り消すクレジットノート(日本では「返品・値引きに伴う適格返還請求書」にあたる場合があります)です。クレジットノートと返金をご覧ください。
税務上の留意点
- VAT/GSTの請求書があれば、事業者の買い手は税額を控除できます。簡単な領収書では、その国の簡易請求書の要件を満たさない限り、通常は足りません。請求書の記載事項をご覧ください。
- 帳簿書類の保存:発行した請求書と領収書の控えは、すべて保管してください。保存期間は国によって異なり、一般に5年から10年です。
- 番号付け:領収書には、請求書とは別の連番(例:
RCT-2026-0001)を付けて、記録を整理しておきましょう。請求書番号のガイドをご覧ください。
簡単な選び方
- まだ代金を受け取っていない → 請求書(作成する)
- 代金を受け取ったばかり → 領収書(作成する)
- まだ価格に合意していない → 見積書(作成する)
- 代金を返金する、または請求書に誤りがあった → クレジットノート
このガイドは一般的な実務を説明するものです。税務や書類のルールは国や業種によって異なります。法律・税務上の助言ではありません。